Vol.14 冬こそ食べたい大根

今月の特集は、この時期 大活躍の大根です。




topの写真を撮影しに伺った冬の某日。

まず大根の豆知識から

大根はアブラナ科の植物。原産地は地中海沿岸と考えられており、紀元前2500年ころにはエジプトで食べられていたとか。日本には縄文時代か弥生時代頃に中国から伝えられました。昔は白首大根が主流でしたが、現在は、辛味が少なく、煮崩れのしにくい青首大根が全体の95%を占めます。土から立ち上がった部分が青くなるので、青首大根と呼ばれていますが、小ぶりで収穫がしやすいということもあって農家の間で広まったようです。


くにたち産の大根の話

さて、今回、国立で7年前から大根を栽培、市場に出荷している遠藤義明さん、長男の隆太さんの畑におじゃましてきました。

下谷保にある遠藤さんの畑の土はさらさらの赤土でした。ここで栽培されている大根は、「献夏(けんか)37号」と「福誉(ふくほまれ)」の2種類。 献夏は夏大根で、暑さに強いきめの大根。葉が大きく、立派です。福誉は冬大根。あまり大きくはなりませんが、毛穴が浅いので肌がきれい。「当初からこの2種類を植えていたわけではないけれど、何年か試して、国立の気候とこの土地にあった献夏と福誉に落ちつきました」と隆太さん。






遠藤義明さんと長男の隆太さん。

遠藤さんの畑の大根の作付けは、8月下旬。夏の暑さが一段落した頃です。そして収穫は、神奈川の方から三浦大根が出てくる前の11月。本来なら11月の終わりあたりは大根の底値の時期で、1本100円くらいのはず。でも今年の大根は高いですよね。


「原因はあの台風だよ」と遠藤さん。9月に日本を襲った巨大台風、18号です。

強い風の影響で苗が横になり、できた大根は多くが曲がってしまいました。市場では、曲がってしまった大根はB級品としての扱いになってしまい、ほかの農家でも同じようなことが起こっていたと思われます。原因は台風だけではありません。「虫になめられてるんだよ」といって見せてくれたのは大根についた“傷”。今年はこういった被害が大発生しているのだそうです。もちろんこのように傷のついた大根も出荷できません。






台風で曲がってしまった大根






虫に”なめられて”しまった大根。

隆太さんに、大根作りの苦労はと聞いてみたところ、”何が起こるかわからないこと、そして起こったことに対して大概はどうにも手の打ちようがないこと”という答えが帰ってきました。美味しい大根の裏には、やはり農家の方の苦労があるのですね。


大根を作り始めてから、遠藤さんはとれたての大根を葉付きで出荷するようになり、そのためのダンボールも特別に用意しました。それが好評で、今では国分寺市などからも葉付きで出荷する農家が増えてきたそうです。大根の葉は栄養豊富、それに葉がついていると新鮮さがひと目でわかります。


遠藤さんの大根はとにかく真っすぐ。曲がった大根は出さないのが、お二人のこだわりです。






大根を洗う機械を見せてくれた遠藤さん。

回転するブラシの中に大根をいれると

あっという間に大根がきれいになります。







葉のついた大根を出荷するために、

作った大きめのダンボール箱。

葉のついた大根、うれしいですよね。



手作りの切り干し大根

そして、1週間後、今度は切干大根を作っていらっしゃる澤井豊弘(とよひろ)さんのご自宅におじゃましました。澤井さんの畑では、たくわん用の大根と三浦大根を作っています。たくわんづくりに向いた大根というのがあるのですね。ただし、こちらは自家消費用だそうです。切干大根を作るのは、例年、年があけてから。乾燥した気候が向いているのと、昔からお正月が終わって残った大根を使って干すようにしていたのではないかという奥様の富士子さんのお話でした。





「切干大根の作り方は?」と富士子さんに聞くと、

「切って干すだけ。」

「え、それだけですか?」

「はい。」とにっこり。



澤井さんのお宅では、切った大根を横にした網戸の上に重ならないように並べ、日陰にならないよう、その網戸を一日何度も動かします。もちろん夜は家の中へ。そして少し乾いてきたら、梅干用の竹かごに並べてカラカラになるまで乾燥させます。出来上がるまでの日数は4日ほど。





「こうやって並べるのよ。重ならないように ね」と梅干用のざるに並べて見せていただき ました。






庭の日の当たり具合をみながら、ざるを動か して乾かす。


取材を終えて・・・








大根を頂いたので干し網を使って干してみましたが、雑な私は同じ太さに切っていなかったために、乾燥具合がまちまち。何度も場所を移動させて、それでも4日では干し上がりませんでした。また、あんなにたくさん切ったはずの大根がカラカラになってみるとほんの少しに。

「切干大根は、手間ですよ」と言われていた澤井さんの言葉に納得がいきました。


澤井さんの切干大根は、1月半ばからしゅんかしゅんかで販売になります。




「大根」と言っても種類も様々。

左から、紅くるり大根 → 紅化粧大根 → 聖護院大根 → 青首大根(福誉) → 三浦大根

写真には写っていませんが、甘酢漬けや塩揉みでおいしい外側は緑色で中は紅色の紅芯大根や、外側も中も緑色した緑大根、紫大根なども。

(文:むらかみくみ/写真:ながむらゆうこ、さとうひろき)