Vol.2 中平ほうれん草王国

おひたしに、胡麻和え、お雑煮の具に、くにたちのほうれん草はいかがでしょうか?
日を重ねるごとに寒さが厳しくなり、甘みを増してきている ほうれん草。

今回、代々ほうれん草をつくる谷保の中平(なかだいら)3軒の農家さんにお話を伺ってきました。

※中平・・・旧谷保村の中央部に位置し、村の真ん中の平地で最も起伏のない地区。城山のあるあたり。

遠藤常臣さんのほうれん草の品種はサプライズ。 葉色が濃く、葉が肉厚なのが特徴。

寒さで甘くなるほうれん草

「野菜自身が凍結しないように糖度を増すから、甘くなるんですよ」農家の7代目 三田栄作さんは、ゆっくりした口調でそう教えてくれました。栄作さんのほうれん草は、他の農家も一目置くほどの出来映え!国立インター近くの多摩青果市場に出荷しています。今つくっている品種は、葉肉が柔らかく、葉色が濃いというハンター。土への栄養はイネ科のソルゴーという緑肥を夏前に植え、秋に農機を使って、土に鋤き込み肥料にしてから、ほうれん草の種を撒くそう。そうすることで土が柔らかくなり、水はけがよくなって育ちやすい土になるそうです。

※緑肥とは植物の葉や茎を田畑に鋤き込んで腐食させ肥料とするもの。

栄作さんは、市場出荷専業の農家。
残念ながらあまり直売所ではみかけることができません。
霜除け・害虫予防にサンサンネット(平織り被覆資材)やパオパオ(←名前がかわいい!不織布被覆資材)をかけるというこだわりも。

黄金のサイクル

遠藤常臣さんはサラリーマンを経験した後、40歳で農業を継ぎ今年で24年目。
常臣さんの畑 中屋農園では、毎年夏に生で食べてもあま~いトウモロコシ ピクニックコーンのもぎ取り販売をしています。夏のもぎ取りが終わると、そのトウモロコシの葉や茎を、土に鋤き込み、冬に向けてほうれん草を植えるという黄金のサイクルがあります。イネ科のトウモロコシとアカザ科のほうれん草を畑で交互に植えることで微生物が繁殖し土が柔らかくなり、連作障害も押さえられて、一石二鳥のサイクルだそうです。トウモロコシを植えていない他の畑では、木材チップがそのトウモロコシの代わりになり、さらに化成肥料を施し土作り。毎年9月20日前後から順々に種を撒きます。

遠藤常臣さん 家族と一緒に。4世代の集合写真。
生産量がピークの1~3月は1日600束の量(!!)を出荷する日もあるとか。

マルチでつくる1万8千束のほうれん草!! 

保則さんのほうれん草の品種は、サプライズとプラトンの2種類。10/11に撒いたものが今まさに出荷されている。
保則さんの畑。マルチが敷かれていました。 これは、3月に収穫される予定のほうれん草で、品種はプラトン。 越冬栽培に適したほうれん草。
父親の定男さんは今年73歳。間引き(大きく育てるために大切)最中のワンショット。 ほうれん草の他に、人参・里芋・長ねぎ・じゃがいも・ ブロッコリー・キャベツ・白菜などを育てています。
こちらは、サラダほうれん草。保則さんはほうれん草の種植えをシーダーマルチャーという機械を使って撒くのですが、こちらは、父親の定男さんが手で撒いています。
エグ味のもとのシュウ酸が少ないサラダほうれん草は、生食でも食べられます。色も鮮やかなので、サラダの彩りに添えてみては?

杉田保則さんは大学卒業後、サラリーマンを経験。30歳で実家の農業を継ぎ、今年で17年目。
保則さんの作り方は先述したお二方とはまた違い、マルチ(根元を覆う農業用フィルムのこと)を敷いて育てています。マルチの長所は、①乾湿の差がない/②雨が根元に一気に入り込まない/③水分保持できる(ほうれん草は冬野菜なので乾燥しがち。マルチをすることによって水分を保持できる)と教えてくれました。
そして、もう1つの違いは土作り。牛堆肥と苦土石灰と、とある肥料(企業秘密!)を入れて、土作りに励んでいるとのこと。ほうれん草が終わると、ブロッコリーを植え、半年ごと交互に生産しています。

遠藤常臣さんのほうれん草は、とれたの、くにたち野菜 しゅんかしゅんかで、
杉田保則さんのほうれん草は、とれたの、くにたち野菜 しゅんかしゅんか、土曜日のたましん国立支店駐車場での即売にてお買い求めいただけます。

【おまけ】
三田栄作さんはお正月に食べる黒豆もつくっています。写真は乾燥させているところ。取材に行かせていただいた日、ちょうどその最中でした。もう少し乾燥させた後、大きさや色、形の選別を1人もしくは2人でやるそう。それが結構大変な作業なんだよと教えてくれました。こちらは乾燥を終え、12月半ばから出荷開始。
数に限りはありますが、とれたの、くにたち野菜しゅんかしゅんかで取り扱いがあるそうです。

(文:さとうひろき/写真:田中えり子・小林未央)