Vol.16 くにたちでも作ってます!健康注目野菜キクイモ

ここ数年、生活習慣病が気になる世代から注目されている健康野菜「キクイモ」、みなさまはご存じでしょうか。11月頃から、くにたちの農産物直売所でも並ぶ、どことなくショウガのような、楽器のマラカスのような、はたまた宇宙船のようなユニークな顔の芋。



一般的な芋に含まれるデンプンと違い、血糖値の急激な上昇を抑える働きを持つイヌリンが主成分ゆえ、くにたちの農家さんの間でもキクイモの輪が広がり、現在では5~6軒の畑で栽培されているのです。ただ、知名度のほうはまだまだ高いとはいえないようですね。

成分の詳しい効果についてはその手の専門Webサイトにお任せするとして、ここではくにたちにて「キクイモ」に関わる方々を紹介していきましょう。


[近年注目のキクイモ 実は長き歴史があった]


近年の健康ブームでもてはやされるようになったキクイモですが、その歴史は長く、既に17世紀のヨーロッパではアーティーチョークに味が似ていることから、エルサレムアーティーチョークとして親しまれていました。どのような土地でも育ちやすいその性格が、飢饉な時代を支えたともいいます。それだけに、物資が豊かな時代に突入すると、保存がしづらい等の点からキクイモの存在は目立たなくなりましたが、「キクイモに含まれるイヌリンが血糖値上昇を抑える」といった発見で、再び注目を浴びるきっかけとなりました。



くにたちでキクイモをそだてる


「キクイモって、実は第二次世界大戦後の日本では普通に食べられていたものなんだよ。昔はだいたい塩漬けか味噌漬けにして食べるのが主流だったね」そう語るのは、くにたちでキクイモを熱心に育てている北島薫さん。どうして、キクイモを育てようと決心されたのでしょう。その出会いから伺ってみました。

「とにかく、人が作らないようなものを作ってみたい」「これからの長寿社会を築くには健康への取り組みでしょう」それらのキーワードから珍品種や健康野菜を探していた薫さん、そこでキクイモという存在を知ることとなりました。







早速栽培に着手し、実際に販売するようになって5年ほどになりますが、当初は店頭に並べてもその知名度の低さと、妙なる形からか手にとるお客さんは僅かだったそうです。しかし、そこで諦めないのが薫さん、惚れ込んだキクイモをなんとかアピールしようと、自ら作製したPOP広告を直売所に掲げ、キクイモ普及につとめます。



「珍しい野菜を作っても、それがお客さんに定着するまでには3年はかかるよ」、だからこそ焦らずじっくりと年月をかけて取り組み、栽培からその食し方に至るまで、薫さんは日々研究されているのです。



とはいえ、栽培はいたって手が掛からない優等生。病害虫にも強いため、消毒不要なのだとか。ある意味無農薬野菜といえますね。4月頃に種芋を植えたら夏にはグングンと生長し、茎は2~3メートルにまでのびます。道ゆく人は、ここはジャングルか?と首を傾げるくらいだそうですよ。その後、9月から10月にかけて黄色いキクのような花が咲き、茎が枯れた11月頃から翌3月くらいまで収穫可能です。



そこで、取材がてら私も収穫の手伝いをさせていただきました。






この枯れた茎の下にキクイモが実っています






収穫は手で土をかき分けてイモの感触を見つけます


土を優しく掘り起こしてみると、根っこが肥大化した根塊の一部が顔を出します。ここからは、丁寧に手で土を掘りながら取り出します。ひとつ発見すればその周囲にも根塊がある証拠、それを指の感覚だけで掘り当てていく作業はまるで宝探しのような楽しさこそありますが、いかんせん腕と腰に負担はかかるわ、手間と時間もかかります。薫さん「健康野菜を収穫しながら筋肉トレーニングをして、健康になってるよ」と笑います。






6m程の畝で10kg弱の収穫が出来ました






出荷前には軽く水洗い、これも購買意欲を左右する重要な作業

農家さんオススメ!調理法

キクイモは、生ではほんのり甘くシャッキリ、加熱するとホクホクとトロトロが共存する不思議な食感が楽しめます。芋という名がついていながら、生でサラダ等でも食せるのも特長のひとつなのです。



薫さんのオススメ調理法は「電子レンジで加熱して、塩や好みのドレッシングをかける、これが手軽ながら美味しい食べ方だよ。」とのこと。実にシンプルですが、キクイモ本来の味を感じるためには、一度は試してみたいものです。また、生のまま小ぶりなサイズなものを味噌漬けにするのも定番です。



私も、実際に「電子レンジdeホックリキクイモ(勝手に命名)」を作ってみました。彩りにブロッコリー等を添え、ハーブソルトをさっとかけたら、立派なサイドディッシュの完成。これがまた家族にも好評でした。油との相性も良いので、炒め物やきんぴらもオススメです。




電子レンジでチンしただけのホックリキクイモ






キクイモとキノコ類、ネギと共に甘辛醤油で味つけした一品


調理するうえで注意する点といえば、キクイモのイヌリンは水溶性なため、洗い過ぎたり煮物にすると栄養分が流れでてしまいます。ポトフ等にする場合はスープもしっかり飲みましょう。



薫さんはキクイモ専門の料理本を入手して、対面販売の際にはお客さんへの調理アドバイスにも役立てているそうです。キクイモの話をもっと詳しく聞いてみたい方は、毎週月・金曜日にJA富士見台駐車場で販売する農産物直売所を覗いてみてください。




くにたちのキクイモ加工品計画






くにたちでは、生の状態を手にする機会に恵まれますが、一般的な食料品店ではなかなか見かけません。粉末パウダーやサプリメントに姿を変え、インターネット販売などで全国に流通される方が多いのです。



そんななか、生のキクイモを使ってより親しみやすい加工品を商品化すべく、キクイモのピクルスを開発しているのが、くにたちにてピクルスやジャムを製造販売している「おへそキッチン」。



くにたち野菜・果物にこだわり、冬ピクルス開発のために旬の野菜をいくつも試していくなかで、生食でほんのり甘みと心地良い食感をもつキクイモにたどりついたと、代表の小野円さんは語ります。



ただ、ショウガのようなゴツゴツとした形は瓶に詰めにくいなど二の足を踏んでいたところに、小ぶりで丸めな形のものを薫さんから分けてもらったことで、本格的な試作がはじまりました。一般販売するには小さすぎるキクイモがこのような形で活躍するのは嬉しいことです。



食感からハーブ・スパイスの調合まで試行錯誤を重ね、試食してもらってはまた試作の繰り返し。ピクルスを日持ちさせるべく瓶を加熱処理する時間ひとつでも、火の通りが早いキクイモは歯ごたえに大きく影響を及ぼします。






農家の皆さんで試食。率直な感想が飛び交います






商品化にむけて語り合う北島薫さんと小野円さん



取材段階での試作品は、中がトロッと外はカリッとした二重の食感が楽しめる、そしてマイルドな酸味をまとったピクルスに仕上がっていますが、商品化された際にどのような形になっているのか、非常に気になるところです。

これがただいま検討に検討を重ねているキクイモのピクルスです


キクイモのピクルスの発売は、2014年4~5月頃を目指しているとのこと、販売詳細については、おへそキッチンfacebookにて掲載予定です。


名前の由来は・・・






くにたちあぐりッポのグルメガイドで紹介している野菜料理カフェ「ベジ・ア・ターブル カフェ・トピナンブール」のオーナー、ベジ料理研究家 yoshiさんによる「トピナンブール(キクイモ)のロースト」のレシピは、もう試されましたでしょうか。こんがりと焼き色をつけたキクイモは、味は勿論のこと見た目にも食欲をそそります。



と、ここで気づかれた方も多いはず、そう、トピナンブールとはキクイモのフランス語名なのです。yoshiさんがヨーロッパの友人宅で、あまりの美味しさにその名を訊ねたところ、それが「トピナンブール」だったそうです。風味もさることながら、その生命力や言葉の響きに惹かれたyoshiさん、どうしてもお店の名前にしたかったのだとか。



旬な季節には、不定期ではあるもののキクイモを使ったポタージュやローストなどが、お店のメニューにくわわることがありますので、是非足を運んでみてくださいね。



(文・写真 ながむらゆうこ)