Vol.17 冬に甘みを増す、栄養豊富な万能野菜

冬の寒さに耐えて甘みを増す小松菜。 葉物は傷みが早いので新鮮なまま食卓に並ぶよう、都市部で多く作られています。 今回取材したのは、84歳の佐伯吉蔵(きちぞう)さんと、稲を刈ったあとの田んぼの一部で小松菜を育てる佐藤義雄(よしお)さんのお2人です。 取材してみると知らないことがたくさんありました。

佐藤義雄さんの畑にて。(写真撮影:赤尾雄介)

小松菜とほうれん草を比べてみました

農家さんに取材した中でも、取材したメンバーで話したときも、ほうれん草の話題があがりました。 一見似ている小松菜とほうれん草。違いを比較してみました。

見た目で違うのは、茎。 ほうれん草は茎が緑色で先端が赤く細い。小松菜は黄緑で太い。

触った感じは、ほうれん草のほうが柔らかく、小松菜は分厚くてしっかりしています。

栄養価も比較してみます。 どちらも栄養価は高いのですが、ほうれん草は、葉酸・鉄分・食物繊維などを、小松菜はβカロテン(ビタミンA)・カルシウム・ビタミンCなどを豊富に含んでいます。

また、ほうれん草はシュウ酸を含むため、下ゆでをしないとエグミが残りますが、小松菜はアクが少なく、ゆでずにそのまま料理に使えるという違いもあります。






葉が分厚くしっかりした小松菜。(写真撮影:ながむらゆうこ)






佐藤義雄さんの小松菜は根っこが太く、しっかりしています。


寒さに耐えて甘みを増す小松菜


小松菜というと冬野菜のイメージがありませんか?取材して知ったのですが、猛暑の頃を除き、年中作っているそうです。

栽培期間は、冬は3ヶ月くらいで、11月頃に植えて2月頃に収穫。春夏は、1ヵ月で収穫できます。

『冬は、寒さに負けずゆっくりゆっくり育っていくから、甘みがあって緑色の濃いものになるよ』と佐伯吉蔵さんは言います。『暖かい時期は、植えるタイミングを誤ると収穫が一気に来ちゃうんだよね』と、秋冬と春夏の違いを教えてくれました。

小松菜にはいろいろな種類があることを知っていますか?実はたくさんの種類のタネがあるそうです。それぞれの種には、「(小松菜の)色が濃い」、「栽培しやすい」、「柔らかい」、「荷姿がいい」など、特徴があります。育てる時期や市場性を見て、農家さんが育てる品種を選ぶそうです。今回取材したお二人は、「なかまち:極立性で収穫しやすい」や「楽天(らくてん):緑色が濃く、束姿が美しい」という品種を育てるそうです。 お店に並んだ小松菜も、時期や生産者によって、見た目や味が違うんですね。食べ比べてみたくなりました。






佐伯吉蔵さん。84歳です。

時代背景を含めて吉蔵さんの農業の歴史を話してくださり、お話上手なので取材時間があっと言う間でした。(写真撮影:ながむらゆうこ)






霜にあたると葉が黄色くなり市場価値がさがってしまうため、パオパオ(不織布→保温、保湿、遮光、防虫等)をかけます。(写真撮影:ながむらゆうこ)


育てるのも食べるのも万能な小松菜





笑顔が素敵な佐藤義雄さん。
昔はサラリーマンをしていて、農家さんになった当初は苦労も多かったそうです。長年小松菜を育てています。(写真撮影:赤尾雄介)





義雄さんは、田んぼの一部で小松菜を育てています。
田んぼの土は、畑と違い粘土のように粘りがある。雨が降るとドロドロになるし、乾くとカラカラになる。『だけど、土に力があって、うまくいくとすごくおいしくなるんだよね』と義雄さんはおっしゃっていました。(写真撮影:赤尾雄介)


今回取材したお二人とも、「小松菜は連作がきくところがいい」と話していました。野菜によっては、同じ場所に植えると病気になることがあり、少しずつ場所をずらして栽培するそうです。「小松菜は、比較的、そういうことが少ない」と、佐藤義雄さんは言います。また、収穫も早いので効率が良いそうです。「あそこのネギは、去年から1年くらいずっと植えたままだよ」と聞いてびっくり。野菜によっては、育てるのにそんなに時間がかかるんですね。



もちろん、育てる大変さはあります。冬は霜で小松菜を傷めないように、夏は虫にやられないように注意を払い、土には、たい肥をまいたり、落ち葉で肥料を作ったり、土づくりも工夫しているそうです。 小松菜の万能性は、食べ方にもあります。私は、お浸しや、お味噌汁くらいしか食べたことがなかったのですが、義雄さんは、ひき肉と炒めたのも大好きとか。また、義雄さんのお友達で、お漬物にする方もいて、それは野沢菜のお漬物のような味わいだそうです。



煮て良し、炒めて良し、お漬物にもなる。確かに、クセがないので、色々な料理に活きてくるのかもしれません。 今回取材をしていて、小松菜は万能野菜なんだなと知りました。




くにたち野菜しゅんかしゅんかに佐藤義雄さんの小松菜があったので、その小松菜で、シイタケと豚肉の味噌炒めを作ってみました。

格別においしかったのは、吉蔵さんや義雄さんの顔が浮かぶからでしょうか。2杯も食べてしまいました。 栄養豊富でクセがないのは、嬉しいところ。料理を工夫して、もっともっと小松菜を取り入れた料理を作りたいなあと思いました。


(文:おおつかさき/写真:おおつかさき、ながむらゆうこ、赤尾雄介)