Vol.24 人とつながる農業

15代続く杉田さんの農園を訪ねる

 

国立市古民家からそう遠くないところにある、杉田和男さん(中平地区)の農園。

初めて訪ねたのは昨年の今頃でしたが、たくさんの柿の木に、ゆず、レモン、みかん、りんごなど様々な果樹が植えられて、さながら果樹園のよう。

ぜひ一度あぐりッポでご紹介したいと思ったのが、今回の特集記事を組むきっかけになりました。

 

杉田農園の果樹

 

杉田農園に植えてある果樹は、レモン、みかん、シークワーサー、すだち、夏みかん、金柑、本ゆず、ブルーベリー、ブラックベリー、ゆすらうめ、梅、かりん、すぐり、ひめりんご、りんご、キウイ、柿。
柿は本数も多く、甘柿、渋柿、そして珍しい黒い柿というのもあります。
レモンやみかんは、以前あったりんご農園から移植してきたもの。
農園の手前には竹もあり、春にはタケノコが取れるそう。

 

農園の真ん中にある大きなつる性の木は、キウイフルーツ。
なんと30年前から育てているのだそうです。
「キウイフルーツは、虫がつきにくいので、育てやすいんだよ」と杉田さん。

 

杉田さんのお父様が植えられたものもあるし、杉田さんが植えたものもあります。
どうしてこんなにたくさんの種類が、と聞くと、「いろいろあると面白いからね」、とひとこと。

 

「まあるいレモンもあるよ。めずらしいでしょう。」と杉田さん。

 

百目という柿。渋い実と甘い実があります。おしりの部分が黒くなっているのが甘い実なんだそうです。

 

杉田さんとりんご農園

 

 杉田さんは、昭和56年頃から10年ほど谷保でりんごを栽培していました。
「市の農産係(当時)の野本さんの勧めだった。育てていたのは王林、つがる、フジの3種類で、あわせて110本ほどだよ」と杉田さん。
その当時のことが新聞記事になっていると、奥様の伸子さんが、その記事を見せてくださいました。

 

 記事によると、当時政府の減反政策に沿った水田転作の一環として、昭和56年から国立市の農家がりんご栽培に取り組んでいました。
多摩地区では東大和、稲城、八王子に続いて4番目ですが、水田転作でりんご栽培に成功したのは国立市の杉田さんの農園がはじめて。
前年は、ぽつりぽつりと実をつけたものの、降ひょうでほとんど全滅したそうですが、記事が書かれた昭和59年は、リンゴは1本に40個も実をつけ、直売所でも販売。
その年の杉田さんやご家族は大喜びだったのではないでしょうか。

 

リンゴの栽培は虫がつきやすく、剪定も大変だったとのこと。「こうやって枝を引っぱると花目がつくんだよ」、と昨年買ってきて植えたリンゴの木で見せてくれる杉田さん。

 

市民が農業に親しめるように

 

果樹園の外にはサツマイモが植えてあり、毎年国立市内の幼稚園の生徒がイモ掘りにやってきます。
40年も続いている行事だというから驚きですよね。
子どもたちが来る前に、杉田さんは抜きやすいようにツルを少し引き上げておくのだそうです。
農園の中ほどにあるテーブルには、イモ掘りにきた子どもたちの写真が大きく飾ってありました。
“ありがとう”という子どもたちの手書きメッセージ付きで。

 

 

 

 杉田さんはまた、近くの農地で15年前から農業塾も開講しています。
最初は市の事業だったものが5年後に廃止になった際、続けたい方もいたこともあり、個人的に継続されているとのこと。
毎週土曜日9時から11時。現在の会員は20名ほど。
作業をするのは会員ですが、肥料、苗、種の準備はすべて杉田さん。
作った野菜を各自が持って帰れるよう、植えつけ方も考えるのだそうです。

 

農業というと、野菜を作って売るだけだと単純に考えてしまいそうになりますが、じつは人と人とのつながりを育む産業なんだなとあらためて感じました。
みかんを買って帰ろうとした私たちに、「40年前から値段は上げてないからね~」と杉田さんの一声。
40年変わらない場所があるというのは、訪れる人にとってもありがたいことなのだと思います。

 

(文:むらかみくみ 写真:ながむらゆうこ)

 

たわわになった杉田農園の柿!